愛情いっぱい、静岡いちご
紅ほっぺの産地、伊豆の国市から
伊豆半島の付け根、田方平野に位置する伊豆の国市。ここは古くから『富士山の見えるいちごの里』として、いちご栽培がさかんに行われてきた地域です。立ち並ぶビニールハウスと『いちご狩り』と書かれた看板が、ここがいちごの里だということを物語っています。
ビニールハウスの中にうっすらと見えるのは、収穫を目前にむかえたいちごの白い花。そう、2007年に生まれた静岡いちごの代表品種・「紅ほっぺ」の花です。
笑顔で迎えてくれたのが、静岡いちごの生産者であり、静岡県いちご協議会会長も務められている小松孝志さん。9年間のサラリーマン生活の後、静岡いちご農家へと転身。以来40年、静岡いち ごを見つめ続けてきた小松さんは、自身のことを「いちご農家としてはまだまだ若手」と笑います。
おいしさの秘密は、愛情いっぱいのきめ細かな育て方
40年前、小松さんが静岡いちごの栽培を始めた当時、作られていたのは「宝交」という品種でした。その後、平成3年には静岡いちごの代表格である“章姫” が誕生。
そしてついに、“章姫” と“さちのか” の交配から現在の「紅ほっぺ」が生まれたのです。
「紅ほっぺと出会った時は『ああ、やっと本物のいちごに巡り会えた』という気がしたよ。ぎっしりと詰まった実の食味、みずみずしさ、甘酸っぱい味と香り…。日本一のいちごだと、自信を持って言いたいね」
2011年、日本農業新聞が流通関係者を対象にまとめたトレンド調べでは、イチゴ部門で1位に輝きました。そのおいしさは、静岡の温暖な気候と風土の上に成り立っていますが、もちろんそれだけでおいしいいちごができるわけではありません。
「40年の間に、農業の技術も発達したし、便利な機械も増えましたよ。おかげで、無農薬でよりおいしいいちごを栽培できるようになりました。夏に、一生懸命手をかけて、良い苗を作る。あとは、ひとつひとつの苗を丁寧に育てていくだけさ。『摘果(てっか)』と言って、付きすぎた花は摘み取ってしまうんだ。それによって、大きな実がなり、株にも負担をかけず長生きさせることができるんです。いちごはおりこうさんだからね。こちらが手間をかければ、それに応えてくれるし、逆に手を抜けばすぐに悪くなってしまう。おいしいいちごは、いちごと相談しながら作っているんですよ」
これからのいちご作り、これからの農業
そんな小松さんに、今後のビジョンについて伺いました。
「県内には、現在、およそ1000戸をこえるいちご農家がいちごを栽培しています。ですが、いちごに限らず、高齢化で農家の数は少しずつ減少しています。若い人にももっと農業に興味を持ってほしいですね。こんなにやりがいがある仕事、やり始めたら、きっと好きになると思いますよ。自分もそうですからね」
静岡のいちごだけでなく、農業という仕事を心の底から愛する小松さん。小松さんのような多くの生産者の方々のおかげで、今日も私たちのもとにはおいしい静岡いちごが届けられます。
「紅ほっぺは、皆さんに是非一度は食べてほしい品種です。間違いなくおいしい、と太鼓判を押せますよ。静岡の温暖な気候と、温かい人柄の生産者が愛情を込めて作っているんですからね」
茶目っけたっぷりに語ってくれた小松さん。今年も真っ赤に実った、おいしい静岡いちごを味わうことができそうです。






